研究概要 |
自然環境での災害救助・後片付けなどにおける岩石や木材の堀り出し・持ち上げ・運搬等の作業を想定して,前脚を腕として用いることができる六足作業ロボットの開発を行った.作業対象がロボットと同程度の場合,1台のロボットで扱うことは困難であり,複数台のロボットによる協調作業が必要となる. 作業目標をあらかじめロボットに与え,具体的で細かい目標を1人の人間が操作する操縦装置によって与えることを考えたとき,1人で複数台のロボット全部を同時に操縦することは困難である.そこで,人間は1台のロボット(Prime Mover)の操作のみを行ない,他のロボット(Assistants)はPrime Moverに対して協調を行なうシステムを提案し,人間が操縦するロボットと協調して作業を行うことができるロボットのための基本システム構成と「動作理解による補助」の実験を行なった. 協調作業の計画と実行は以下の手順で行われる. (1)作業目標(岩石や木材の堀り出し・持ち上げ・運搬等)は作業開始時にあらかじめ与えられているが,具体的な対象物・場所等は作業中に人間がPrime Moverを操縦することにより与えられる. (2)Assistantsは作業目標から作業計画をたてる.この作業計画は,Prime Moverが行なうであろう動作の予測と,それに対するAssistantsの細部が未定な不完全な動作計画から構成される. (3)Assistantsは協調作業の各ステップで,作業計画に基づいてPrime Moverの動作予測と確認を行ない,Prime Moverの動作に対して適切に同期をとり,Assistantsの不完全な動作計画の細部を決定して完全な動作計画をたて,これを実行する. 協調システムとして,Smalltalk-80を拡張し,ロボット間の通信も通常のメッセージ・パッシングにより統一的に行うことができるマルチロボット用制御システムを開発した.このシステムを用いるとAssistantsは個別の通信プロトコルを設定することなく自由にPrime Mover側のすべてのデータ(オブジェクト)をアクセスすることができるので,AssistantsによるPrime Mover側の事象検出のためのプログラミングは単一ロボットと同様に簡単に行なうことができる.
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