研究概要 |
1.従来の線形予測法にかえて,メルケプストラム分析法を利用したCELP音声符号化系を考案した.メルケプストラムを利用することにより,人間の聴覚特性を利用することが容易となった. 2.メルケプストラム分析を用いた音声符号化系をワークステーション上で実現し,様々な標本化周波数,データレートに対応できるような拡張を行なった. 3.実現したプログラムから総演算量を見積もり,演算量を削減する工夫をした. 4.多くの音声データにより実際の符号化を行い,SN比などの客観評価により,実現された符号化システムの細部に渡る最適化を行なった. 5.提案したメルケプストラム分析を用いた音声符号化系は,従来の線形予測法を用いた符号化系に比べ高いSN比をもつ.シミュレーションにより,従来法に比べ,約1dBの改善が達成されることを示した. 6.この結果から,提案法は従来法に比べ高い音声品質をもつことが期待できるが,このような有効性を明らかにするためには,定量的な音声品質の評価を行わなければならない.本研究では,数十名程度の被験者による受聴試験に基づいて提案方式を従来方式と比較し,その優位性を示した.その結果,提案法は従来法に比較し,同じビットレートで,約1.8dBの改善を達成することができた. 7.以上により,メルケプストラム分析のCELP音声符号化系における有効性が明かとなったが,今後はMBEなど他の音声符号化系におけるメルケプストラム分析の有効性についても検討していく予定である.
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