区分線形カオス発生回路の制御とその情報通信への応用

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06750404
• 研究機関: 法政大学
• 研究代表者: 斎藤 利通 法政大学, 工学部, 助教授 (30178496)
• キーワード: カオス / カオス制御 / カオス同期 / ヒステリシス / 区分線形系 / ニューラルネット / 秘匿通信 / 非線形制御

研究概要

近年盛んに研究されているカオスの制御において、カオスに潜在する不安定周期軌道に代表される多様な現象の解析、その安定化のための制御法の考案、およびこれらの情報通信の応用を目的として研究を行った。解析的アプローチを重視するため、特に区分線形系に対象を絞り、以下のような成果を得た。
1)まず、ヒステリシス素子を含む3次元自律系カオス発生回路に着目し、そのカオス発生条件、基本分岐現象の理論を整理した。そして、カオスに潜在する不安定周期軌道(UPO)を、符号化して分類し、その系列を系統的に解析する手法を考案した。そして、パラメータを絞った場合について実際に計算して、UPOの種類、形状、数を解析的に明らかにした。
2)所望のUPOを安定化するために、区分線形系の利点を生かして、カオス軌道がある線形領域の"わな"にはまった時のみ、所望UPOと被制御軌道との誤差をフィートドバックするOccasional Proportional Feedbeck法(OPF)を考案し、その動作と頑強性を理論的に明らかにした。なお、従来のOPFについては、このような理論的保証はなされていない。
3)応用への第一歩として、OPFによる制御回路を実装し、それが理論どうりに動作することを実験で検証した。この回路では、素子値の設定は容易であり、一つのボリュームを調節するだけで様々なUPOを安定化して抽出できる。言い換えれば、このボリュームで、所望の時系列情報を取り出せる。さらに、このOPFを発展させ、カオスを同期させる回路も設計し、その実装に成功した。これは、本カオス発生回路を用いた人工ニューラルネットによる情報処理や、これによる秘匿通信系構成のための、重要な基本技術である。

研究成果

• [文献書誌] 三堀邦彦,斉藤利通: "Control of pcecewire livear chaos by occasional proporfional feedback" Nonlinear Dynamics,Akademice Verlag. (1995)
• [文献書誌] 斉藤利通,三堀邦彦: "Control of chaos from a piecewise livear hysferesis circnit" IEEE Trans.Circnifs and Systems I. 42-3. (1995)
• [文献書誌] 斉藤利通,中川伸治: "Chaos from a hysferesis and swifched circuif" Phil.Trans.of Royal Soc.A. (1995)
• [文献書誌] 三堀邦彦,斉藤利通: "A four simensional plus hysferesis chaos generator" IEEE Trans.Circnifs and Systems I. 41-12. 782-789 (1994)
• [文献書誌] 鈴木崇,斉藤利通: "On fundamental bifurcations from a hysferesis hyperchaos generator" IEEE Trans.Circnifs and Systems I. 41-12. 876-884 (1994)
• [文献書誌] 斉藤利通,松本好明: "Chaos,forus and bifurcation from three coupled relaxation osciffatos" IEEE Trans.Circnifs and Systems I. 41-11. 754-759 (1994)