研究概要 |
バックラッシュは歯車に代表されるガタにより発生する非線形ヒステリシス特性であり,歯車を駆動力伝達系に持つ機械系において制御性能を悪化させる要因の一つである.またバックラッシュ現象は,歯車を破損する原因となる. そこで本研究では,1)バックラッシュの制御出力への影響を小さくすることと共に,2)バックラッシュ自体が発生しにくい,制御アルゴリズムの開発を目指した. 当該年度における成果は次の通りである.すなわち, 1)歯の接触,遊離,衝突の一連の過程の定量的解析を行った. 2)これをもとに,上記の目的を達成するために,つぎの2つの基本方針を考案した. a:バックラッシュ関数が既知である場合,これの逆関数を発生させ,操作量に加えること. b:操作量の振動量を評価関数に採り入れ,操作量の加速度が変化しにくい制御器を導出すること. これらの方針はロバストモデルマッチングによって実現することにより,目標値応答特性と独立に,同時に達成可能である. 今後の重要な課題として,1)実験による検討を行うこと,2)バックラッシュ関数が既知でない,あるいは不確かである場合の対策がある.
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