1.電子スピン共鳴計測用-フェイスコイル型共振器の共振尖鋭度と充填率(試料内にある磁気エネルギーと共振器の蓄えるエネルギーの比)の評価を可能にするためにそれらの定式化を行った。その際、生体試料内で生じる電磁波の損失を表す等価的な抵抗の値を求めることを可能にした。 2.1でおこなった定式化に基づいて数値計算を行えるようにし、電子スピン共鳴計測の際に得られる信号強度の推定を可能にした。 3.数値計算と定式化の妥当性を検証するために、計算モデルと同様の共振器を試作し、実際の電子スピン共鳴計測を行った。その結果、実験結果と数値計算の結果が一致することを確認した。 4.信号強度の評価法が妥当であることが確認できたので、その評価法を用いたサーフェイスコイル型共振器の設計指針を明らかにした。その結果、試料の寸法と媒質の物理定数が与えられたとき、サーフェイスコイル型共振器の全長が短いものほど大きな信号が得られること、並びに信号強度が最大となるようなサーフェイスコイルの寸法が存在することが明らかになった。 この研究により、当初の予定通り信号強度を最大とするようにサーフェイスコイル型共振器を設計することが可能になった。
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