研究概要 |
1.鋼管杭と場所打コンクリート杭の遠心載荷実験 2種類の杭の大変形水平載荷試験を行い,以下の知見を得た. (1)鋼管杭:単純,直列2本杭,直列3本杭は,それぞれ杭頭変位が杭径の30%,40%,30%で終局状態に至る.終局状態の荷重分担率は,直列2本杭の場合は前方杭:後方杭=3:1であり,直列3本杭は前方杭:中央杭:後方杭=2:1:1である.地盤が杭体から影響を受ける範囲(地表面)は,杭頭自由の単杭の場合,杭径の3.7倍,直列2本杭の場合は杭径の4倍である. (2)鉄筋コンクリート杭:杭頭自由の単杭は杭頭変位量が杭径の40%で終局状態に至る.杭体の非線形性は変位が5.5%で発生し,15%でクラックが開きはじめる.直列2本杭と直列3本杭では,それぞれ40%,25%で終局状態に至る.鉄筋コンクリート杭においては杭体の塑性化による群杭全体の支持力低減効果が顕著で,杭の配置により塑性化の進み具合が異なる. 2.数値解析手法(3次元弾塑性有限要素法)の開発 場所打ちコンクリート杭の水平載荷試験を基に,新たに開発した3次元弾塑性有限要素法(GPILE-3D)で解析を行い,以下の知見を得た. (1)杭体・地盤の非線形特性は,少ないパラメータで的確に表現できた.特に,鉄筋の応力〜ひずみ関係にPar k-Pauleyモデルを採用することで,杭体のM-Φ関係を終局まで評価できた. (2)GPILE-3Dは,杭頭荷重〜変位関係に関し,単杭のみならず群杭に対しても実験結果を終局状態まで評価することができる有効な手法で,群杭では軸力に応じたM-Φ関係を導入することにより,前列杭と後列杭の違いを明確に表現できた. 上記1〜2の研究を総合し,さらに杭体を破壊に至らしめた現場載荷試験結果の収集とデータベース化を実施して,限界状態設計法を確立するための資料を提供した.
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