地盤改良を施した人工的な地盤材料の支持地盤としての利用が近年増加している。セメントを混ぜた粘土もそのひとつである。本研究では、セメント処理された粘土の力学挙動の体系化とこの種の支持地盤を対象とした実用的な変形予測手法の確立を目標に、その第一歩としてセメントを混ぜた粘土の圧縮性を標準圧密試験を行うことによって実験的に検討した。また、セメント混合処理された粘性土的な地盤材料の構成式の確立を限界状態の概念を拡張することによって試みた。本研究で得られた成果をまとめると次のようである。 1)液性限界の2倍程度のスラリーな状態でセメントを混ぜた粘土のe-logσ_v関係を標準圧密試験により求め、その特性を考察した。その結果、セメント含有率が多いほど、圧密曲線は高位になる。2)セメント含有率の増加と共に、基準圧縮指数(=e_<100>-e_<1000>:鉛直圧100kPaの時の間隙比から1000kPaの時の間隙比を引いた値)は増加し、除荷指数は減少する。3)Burlandの基準に従うと、セメント含有率1%程度では、その粘土の構造の強さは、自然堆積粘土のそれよりも劣る結果となるといったことが明らかになった。また、セメントを混ぜた粘土の構成式を検討する上で、限界状態の概念が有効であることが示された。具体的には、粘着成分を考慮した限界状態の概念を新たに示し、エネルギー消散の仮定を加えることにより、セメントを混ぜた粘土の限界状態モデルの提案を行った。
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