寒冷地気候と都市廃棄物埋立地浸出水との関わりとして、今年度は1.春期における融雪水の発生による浸出水量の増加現象の有無、2.冬期における気温低下による浸出水水質及び水温への影響の2つを中心に処理データの収集及び考察を行った。 北海道内における浸出水処理施設を有する41都市へ浸出水に関する調査票を送付し、31ケ所から回答を得た。そのうち、水量・水質に関するデータが年間を通して記録されていたのが15ケ所で、9ケ所については現場調査を行い、埋立地及び処理施設の詳細な調査を行った。各都市の浸出水処理施設は埋立地から流出した浸出水を貯留池にためてから処理施設へ流入させるシステムになっている。ほとんどの処理施設が水量・水質を貯留施設以降で測定していたため、埋立地からの真の浸出水流量及び水質の把握ができなかったが、水量に関しては8ケ所のみが貯留施設の水位を測定していたため、水収支から浸出水量を計算できた。また、処理水量のみのデータしか有しない都市についても稼働状況を検討した。その結果、 1.月別浸出係数(=浸出水量/降水量)は調査対象処理施設での平均年間約0.5に対し、4月は1.4と大きく増加していた。また、処理水量の計画処理水量に対する比が平均年間約1.0に対し、4月は1.3と増加していた。 2.前述のように埋立地からの流出時の水質は明らかにできなかった。浸出水水温データを有していた7ケ所について水温と気温との比較を行った結果、浸出水水温が年間約6℃高いことがわかった。また、有機物を多く含む混合ごみの埋立を行っているところでは、微生物分解熱による埋立地内部温度の上昇が伺われ、浸出水水温が気温よりも年間約13℃高く、浸出水温低下の防止に寄与していることがわかった。 今後は埋立地内部の熱・物質移動現象をモデル化して、浸出水量及び水質の予測シミュレーションを行うシステムを構築を行う予定である。
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