研究概要 |
ジルコニア固溶体における相安定性、相関係、相転移に関する研究において、組成が均一な試料の合成は非常に重要である.(ZrO_2)_<1-X>-(YO_<1.5>)_×固溶体をアーク溶解法あるいは焼結法により、(ZrO_2)_<1-X>-(CeO_2)_×固溶体を仮焼した後に約1650℃で焼成することによりあるいは錯体重合法により作製した.ジルコニア固溶体の相転移においては酸素の役割が重要である.正方一単斜(t-m)相転移における酸素の挙動、即ち位置及び振動状態を中性子回折およびX線回折によって評価した。リ-トベルト解析を行い、酸素の原子座標と振動パラメータを得た。相安定性の基礎データである転移エンタルピーに関するデータは殆ど無く、定性的なデータでさえ不均一な試料を用いてなされている場合が殆どであった.本研究では組成の均一な試料を合成し、それを用いてt-m転移エンタルピーを定量的に測定する事に成功した。得られた粉末の熱流束型走査型熱量(DSC)測定を5℃/minの加熱冷却速度により行なった。相転移熱はNBSのアルミナあるいは標準金属試料の融解熱により補正するが、この補正およびバックグラウンドの善し悪しにより実験精度が左右されるので再現性、試料の量によりどれだけ測定結果が変わるかなどかなりの検討を行った。DSC測定前後のX線回折測定を行い単斜相の割合を定量して式量当りの転移熱を計算した。転移熱はドーパントの濃度の増加とともに増加した.また,計算状態図をジルコニアーセリア-酸化ランタン系に対して実行し,実験も行って両者の比較から3元系における相互作用パラメータを見積もった.
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