クリームやローションなどの化粧品の白色顔料として用いられている酸化チタン微粒子表面に、界面活性作用を有する高分子や薬理活性高分子をグラフトして固定化することにより、それらの経皮吸収性の問題点を解決すると同時に、酸化チタン粒子自身の分散性を向上させることを目的として、グラフト鎖の、構造・分子量・グラフト量、及びグラフトする界面活性高分子と薬理活性高分子との割合が、酸化チタン超微粒子の様々な媒体中への分散安定性や薬理活性にどのように影響するかについて究明した。用いた界面活性ポリマーは、ポリアクリル酸ナトリウム及びポリエチレングリコールであり、また、薬理活性ポリマーは、ジビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマーである。本研究で得られた成果は、以下の通りである。 1.アゾ基を導入した酸化チタンを用いてラジカルグラフト重合を行うことにより、あるいは、ポリマー鎖中に導入した官能基との反応により、(1)主鎖に界面活性ポリマーを有し側鎖に薬理活性ポリマーを有するグラフトコポリマー、(2)主鎖に薬理活性ポリマーを有し側鎖に界面活性ポリマーを有するグラフトコポリマー、(3)界面活性ポリマーと薬理活性ポリマーとのブロックポリマー、以上3種の構造の異なるコポリマーを、それぞれ酸化チタン粒子表面にグラフトできる。 同一のグラフト量で比較すると、界面活性作用及び酸化チタン粒子の分散安定性に対しては、主鎖に界面活性ポリマーを有し側鎖に薬理活性ポリマーを有するグラフトコポリマーが、最も良好であった。 3.薬理活性作用は、グラフト量やグラフトコポリマーの構造の差異よりも、グラフトコポリマーに占める薬理活性ポリマーの割合(含有量)に依存する傾向が認められ、且つ、その分子量が大きいもの程高活性を示した。
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