本研究では、窒素酸化物変換反応に関与する酵素の活性点構造、反応機構、構造-活性相関等を明らかにすることを目的として実験を行なった。 本研究では、従属栄養硝化細菌としてArthrobacter globiformisを用いた。Arthrobacter globiformisの培養は、酢酸ナトリウムを炭素源、硫酸アンモニウムを窒素源として用い、好気的条件下で行なった。本細菌より、まず、ヒドロキシアミン酸化酵素の精製を試みた。ヒドロキシアミン酸化酵素の活性は、チトクローム_cあるいはフェリシアン化カリウムを電子受容体として用い、生成した亜硝酸を呈色反応により定量することにより測定した。 独立栄養硝化細菌より精製したヒドロキシアミン酸化酵素は、その分子中にCタイプのヘムとP460と呼ばれるヘムを有するヘム鉄蛋白質であることが報告されている。Arthrobacter globiformisより精製したヒドロキシアミン酸化酵素の吸収スペクトルを測定すると、ヘムにもとずく吸収は観測されなかった。このことから、Arthrobacter globiformis由来のヒドロキシアミン酸化酵素は、ヘム蛋白質ではないことが分かる。活性測定の際に、反応溶液中に二価の鉄イオンを添加すると活性の上昇が観測されたことから、本酵素は、非ヘム鉄を活性中心とする、非ヘム鉄蛋白質であると考えられる。
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