高温型プロトン導電性セラミックスを用いて水素と重水素の混合ガスから水素を分離するために、プロトン導電体としてCaZrO_3酸化物セラミックスを使用した。このセラミックスを厚さ0.5mm程度にセラミックスカッターで薄くし、その両側に白金電極を取り付け、電気化学的同位体分離膜を構成した。これを二本のアルミナ管で挟み付け、ガラスリングでガスシールをすることにより、二つのガス室を設けた。アノード室には等量の水素同位体混合物、カソード室にはアルゴンをそれぞれ900℃で供給し、定電位で直流を分離膜に通電した。カソード室で発生した水素種を質量分析計で観察したところ、水素が重水素に比べて数倍多く検出された。このような電気化学的水素ポンプにおける同位体効果は、詳細な実験から水素種の電極反応とプロトン導電体内での拡散の双方で起こることがわかった。
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