我々は不斉認識を目指した新規人工光学レセプターの開発に取り組み、まずは不斉認識場の確立に向けて化合物1の合成を行った。NMRの測定から、化合物1は溶液中で'flattened cone'型構造をとっていることが示唆され、ビナフチル基を有するクラウンエーテル部位に光学活性アミン類の配位を可能にするcavityを形成していることがわかった。1)そこで、化合物1と光学活性アミン類との相互作用を増幅させる目的で、カリックスアレーンのupper timの化学反応性を利用して蛍光レセプター2を分子設計し、その合成経路の確立を行った。その結果、ラセミ体でありながら、2の合成に成功した。化合物2は364nmに蛍光を発する機能を見出したので、目下、その光学活性体の合成を検討している。一方、我々が分子設計したこの種のビナフリツカリックスクラウン部位によるアミンの分子認識は興味深い。この観点から合成されたインドフェノールクロモフォアを有するレセプター3はブチルアミン類に対する形状認識機能を発現した。すなわち、3はtert-ブチルアミンを選択的に認識し、他のブチルアミン類より3〜8倍会合定数が高い。2)この結果に関しては現在投稿準備中である。 〈講演〉1)日本化学会第69春季年会、3G229.2)日本化学会第69春季年会、3G230.
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