本研究ではまず、シクロブタノールをδ-ラクトンに変換するための反応条件を検討した。 1、無置換のシクロブタノールと種々の一電子酸化剤との反応を、一酸化炭素加圧下、詳細に検討した。その結果、 (1)基質を効率良く一電子酸化する酸化剤として四酢酸鉛が有効であること、 (2)開環後のアルキルラジカルが、効率良く一酸化炭素を捕捉するには、高いCO圧が有効であること、 (3)反応温度は80〜90℃が必要であること、などが明らかとなった。 2、置換基を有するシクロブタノールのδ-ラクトンへの変換について検討した。その結果、 (1)1位に置換基を有するシクロブタノールでは、δ-ラクトンの生成は抑制され、一酸化炭素捕捉後、環化しなかったと思われるケト酸が主生成物となること、 (2)2位に置換基を有するシクロブタノールでは、開環の位置選択性はほとんど見られないこと、が明らかとなった。 3、シクロプロパノール、シクロペンタノールについても、一電子酸化剤として四酢酸鉛を用い一酸化炭素共存下、反応を行った。その結果、 (1)シクロプロパノールでは、カルボニル化反応はまったく起こらないこと、 (2)シクロペンタノールでは、同様の反応が生起し、7員環ラクトンもしくはケト酸誘導体が得られること、などが明らかとなった。
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