研究概要 |
(1)東北大学東八幡平実験フィールドの人工地下き裂を使った境界波計測実験 地下約370mに水圧破砕により作成した人工地下き裂を使って,地下き裂に沿って伝搬する境界波の伝搬特性を計測した。測定実験では人工地下き裂に交わる一方の坑井F-1井のき裂交点直上367mにエアガン,他方の坑井EE-4井のき裂交点近傍の深度にハイドロフォンを設置して実験を行った。計測実験では,2つの坑口をリューブリケータにより閉じ,地下き裂を加圧しながら境界波を計測した。この実験に設備備品として購入した電力増幅器および消耗品として購入した超音波センサとエアガンの消耗品を使用した。また,実験のための宿泊費として調査旅費を使った。 (2)境界波の速度評価 境界波の分散を時間-周波数表現の1つである疑似Wigner分布(PWD)を使って解析した。PWDでは,偽像を抑圧しながら,信号エネルギーの非定常な時間-周波数分布を高い時間と周波数分解能で推定できる。PWDを表示する時,各周波数の境界波の入力時刻を強調するため2つの表示方法を用いた。そして,境界波の伝搬特性とPWDの原理に基づきPWDを解析した結果,PWDには境界波の伸縮型基本モードに特有の異常分散がみられた。この実験結果に境界波の速度の理論計算結果をあてはめ,地下き裂を加圧した時無次元き裂面接触剛性が高々0.01であることを示した。解析結果を保存するために消耗品として光磁気ディスクを購入した。
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