本研究は、ウォータージェットの衝突が原因で発生する岩石表面の壊食現象について、その機構の解明を目的とする基礎研究である。具体的には、ウォータージェットが固体の表面に垂直入射する場合、表面に生じる壊食痕の形状を分析し、ウォータージェットが液滴化する領域についての壊食機構を考察する。 以下に得られた成果を要約する。 (1)スタンドオフディスタンスを変えて壊食痕の様相を調べた結果、噴流構造が著しく変化する領域が存在すること、また、一定の壊食機構が存在する領域があることが明らかとなった。 (2)壊食機構を検討した結果、吐出圧力が一定の場合、中心壊食深さが一定値をとる領域が存在することがわかった。この領域を等速壊食領域とよぶことにし、吐出出力の影響を等速壊食領域において分析してみたところ、中心壊食深さは吐出圧力の3乗に比例することが明らかとなった。 (3)前述で得られた関係式を時間微分することにより、壊食速度は流速の6乗に正比例することがわかった。これはキャビテーションによる壊食実験から見出されている6乗則と同じである。 岩石を用いたウォータージェット壊食試験によって、ウォータージェットが液滴化する領域における壊食の初期段階に、衝突中心の壊食深さの増加速度がジェットの流速の6乗に正比例する壊食現象のあることを明らかにした。
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