イネにおけるMuトランスポゾンの相同配列を探索した結果、内部の配列をモチーフにしたプライマーからの増幅産物を得た。その塩基配列はMuトランスポゾンの2つの遺伝子配列に挟まれる非転写領域のため、相同性は40%と低かった。ただし、この配列はイネにおいて反復配列として存在していることが明らかとなり、そのゲイム構成に何らかの影響を与えたと推定される。さらに、イネではMuトランスポゾンの末端反復配列に相同な配列が検出された。複数の相同配列が存在するとともに、インド型、日本型の各品種群間ならびに日本型品種群内における水稲・陸稲の生態型間でRFLPが検出された。この塩基配列を決定するため、インド型品種のIR36のゲラミックライブラリーからのクローニングを試みた。複数のプローブに対して、転写領域に相同な配列を得て制限酵素地図を作成した。この配列部分をプローブとしたサザンハイブリダイゼーションにおいて、イネゲノムには少なくとも2コピー以上の存在することが確認された。この配列をプローブとして用いたサザンハイプリダイゼーションでは、コムギやオオムギなど他の単子葉の穀物植物においても相同な配列の存在とRFLPが確認された。現在、クローニングされた塩基配列のうちMuトランスポゾンから作成したプローブに対して相同性の高い配列をサブクローニングし、塩基配列を解析している。
|