研究概要 |
果色発現の制御機構の解明として、果皮アントシアニン色素に注目し,その生合成に影響を与える環境要因を調査した. まずブドウ未熟果皮の培養を行い,果皮アントシアニン組成について露地栽培条件下での形質と比較した.培養条件下でも最終産物まで生成したが,中間産物は種類,量とも減少する傾向があった.また環境条件のうち光条件は温度条件よりもアントシアニン生成に影響することが明らかになった.しかしながら,アントシアニン生成に光条件が影響する理由として,(1)アントシアニンの前駆物質である光合成産物を生成するために必要である.(2)アントシアニン生合成のある特定の経路が光を必要としている,の2つが考えられるため,この点についてはさらに研究が必要であると考える. ‘Red Niagara'についてアントシアニンの直前の前駆物質であるロイコアントシアニンを確認することができたが,そのほかの品種では見いだすことはできなかった. 全体として組織が褐変する傾向があり,培養条件の更なる検討が必要であると感じた.今後さらにアントシアニンを生成しない緑黄色品種も含めて研究を進めたいと考えている.
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