本年度の研究ではサツマイモのチトクロムオキシダーゼサブユニットVcおよびF_1ATPaseのεサブユニットについてGUSレポーターとの融合タンパク質をタバコで発現させ、ミトコンドリアへの輸送効率の検討を行った。サブユニットVcそしてεサブユニットは両者とも移行後のプロセシングを受けないタンパク質である。サブユニットVcについては、E47コンストラクトが高い移行能力を持つことが示されているが、それより13アミノ酸短く、α-ヘリクス領域と疎水性領域を全て含むW34コンストラクトでは移行能力が低いことが明らかとなった。このことはW34からE47までの荷電アミノ酸の領域が移行に必要であることを示している。εサブユニットは後半にに荷電アミノ酸が頻発する構造を持っている。この部分を3'側より順次欠失していったところ、この領域の1/3を保持しているL41コンストラクトまでは移行効率が高く、全く持たないN26コンストラクトでは低いという結果が得られた。このことよりεサブユニットのN26からL41の領域に移行効率を高める構造が存在することが示された。εサブユニットとサブユニットVcでの結果は類似しており、両者とも後半の荷電性領域の一部を移行に必要とすることが示された。両サブユニットが共通の機構でミトコンドリアへ輸送されているのかもしれない。今後これらの領域にに注目し、アミノ酸配列が重要なのか、あるいはアミノ酸の数が重要なのかということについてさらに詳細な解析を進めるつもりである。
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