1.proBのORFを含む、もしくは含まない各種サブクローニングプラスミドとORF内外にフレームシフト変異を持つプラスミドを作成し、各プラスミドのプロテアーゼ生産の増大効果を確かめる事によって、proB本体が、プロテアーゼ生産の増大効果を持っていることを確認した。また、染色体上のproBを破壊するとプロテアーゼ生産量が50%程度減少することから、通常の生理的状態で細胞のプロテアーゼ生産制御にproB遺伝子が必要であることが示唆された。 2.現在知られているATP以外の低分子のリン酸供与体は、two-component系のregulatorタンパクをsensorタンパクの不存在下でリン酸化する。そこでproBの作用がsensorタンパクを要求するのか否かを検討するために、DegS-U系のsensorであるdegSを欠く宿主においてproBがプロテアーゼ生産促進効果を持つか調べた。具体的にはアルカリプロテアーゼ遺伝子(aprE)とlacZのfusionを、degSを欠き、多コピーproBを持つ宿主の染色体に導入し、β-ガラクトシダーゼ活性を測定した。その結果、プロテアーゼ生産の増大効果は観察されなかった。すなわち、proBの作用はsensorタンパクを要求する点で、過去の報告と異なっていた。 3.proBは大腸菌ではすでにクローン化されており、proAとオペロンをなしていることが知られている。報告者は、申請時、完全長proBORFとproAORFのN末端部分を取得していた。そこで染色体walkingによって枯草菌のproAORFのC末端部分を取得し、枯草菌proBAオペロン(2.7kb)の塩基配列を決定した。
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