1.カイコ羽化ホルモン(EH)遺伝子の発現調節領域の解析 まず、カイコ(Bombyx mori)の卵からゲノムDNAを調整し、in vitro cloningを試みた。ゲノムDNAを制限酵素Sau3AIで消化し、その末端にSau3AI切断末端を持つ48merのCasette DNAを結合した。Exon-Iの5'側領域の配列を明らかにするために、これに、Exon-I及びCasette DNAにhybridizeする20mer及び24merのプライマー(EXI-1及びC1)を加え、PCRによって増幅した。増幅産物は、ジゴキシゲニン(DIG)でラベルしたExon-Iの5'側末端にハイブリダイズする17merのプローブ(EXI-3)を用いてサザン法により検定した。現在までのところEXI-3とhybridizeするバンドは得られていない。一方、Intron内にも発現調節領域が含まれている例がDrosophilaで知られているため、first intron(Intron-I)の解析を試みた。Exon-IIにhybridizeする25merのオリゴヌクレオチド(EXII-1)とC1をプライマーにPCRを行ったところ、サザン法でEXII-1より上流側でExon-IIにhybridizeする42merのオリゴヌクレオチドプローブ(EXII-2)で約200bpの増幅産物が検出された。これは、EXI-3とhybridizeしないことから、EX-Iまでは含んでいないと考えられ、Intron-Iは、100bp以上の長さがあり、3'末端から約100bp上流に、Sau 3AI切断部位があることが明かになった。現在塩基配列の解析中である。 2.アメリカザリガニ血糖上昇ホルモン(CHH)のクローニング CHHは、機能はEHと異なるもののアミノ酸配列上で3対のCysの位置がEHと一致しており、共通の分子から進化した可能性もある。そこで、アメリカザリガニCHHのクローニングを試みた。その結果、PCRによって、CHHのcDNAに長さが一致する約150bpのフラグメントが増幅された。現在塩基配列の解析中である。
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