食品・生体蛋白質はフリーラジカルなどによる酸化作用を受け、異常蛋白質として摂取されるか、もしくは生体組織などに蓄積される。本研究は異常蛋白質に対する生物応答を化学的に解析することを目的に、酸化ヒスチジン(2-オキソヒスチジン)を指標とした特異的高感度検出系の開発を目的として研究を行った。 2-オキソヒスチジンが強い酸化還元活性を示したことから、電気化学検出器(ECD)を備えたHPLC(HPLC-ECD)による高感度検出を試みた。その結果、逆相カラムを使用することにより、2-オキソヒスチジンを特異的かつ選択的に検出することが可能となった。この方法をフリーラジカル処理した蛋白質に適用したところ、酸化蛋白質の加水分解後の試料についても、2-オキソヒスチジンの検出が可能であった。さらに、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)を過酸化水素処理した酸化SODについても調べたところ活性中心に局在するヒスチジン(His-188)の特異的酸化による2-オキソヒスチジンの生成を明らかにした。現在、酸化ストレス疾患などに関連した生物試料への応用を検討中である。
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