アクアコバラミンレダクターゼ酵素の遺伝的な異常に起因する先天性ビタミンB_<12>代謝異常症患者より分離したヒト皮膚線維芽細胞(cblC:WG1998)と正常細胞(WI-38P23)を10%FBSを含むDNEM培地で培養後、テフロンホモジナイザーを用いて細胞を破砕し、分画遠心法によりミトコンドリアとミクロソーム画分を単離した。この両画分を用いてNADH型とNADPH型アクアコバラミンレダクターゼアイソザイム活性を測定した。その結果、正常細胞に較べcblC細胞ではミトコンドリアのNADH型酵素の活性のみが顕著に低下していた。そこでウエスタンブッテングを行い本酵素の細胞内タンパク質レベルを調べたところ、正常細胞との間に顕著な差異はなかった。この結果より、cblC細胞での活性の低下が酵素タンパク質の発現レベルの低下に起因するものではないことが明らかとなった。次にミトコンドリア画分を用いて本酵素の速度論的解析を行った。その結果、cblC細胞の酵素は正常細胞の酵素よりも基質であるアクアコバラミンに対する親和性が約1/2に、またNADHに対しては約1/3に低下していた。この結果からcblC細胞におけるミトコンドリアのNADH型アクアコバラミンレダクターゼの活性低下は両基質に対する親和性の低下によることが明らかとなった。恐らく、酵素タンパク質の活性中心付近のアミノ酸のポイントミューテイションにる遺伝的障害であることが推定される。現在、これらの結果を論文としてまとめている。
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