1.光合成・蒸散測定装置 マスフローコントローラーを用いることにより比較的簡単、かつ高精度にCO_2濃度を変化させることが可能であった。測定システムの流量バランスを適宜取ることにより、測定中のCO_2濃度変動は2ppm以内に保つことができた。また自作した同化箱は20℃±1℃に温度制御できた。しかし、高湿度(80%以上)においては湿度センサーの性質上、湿度測定の精度が低くなるため、同化箱に導入する空気を水蒸気圧8mb程度に除湿した。同化箱内水蒸気圧は、蒸散により変化するが9.5〜14.0mbであった。 2.針葉樹・広葉樹数種の高CO_2濃度に対する光合成・蒸散特性 夏期に針葉樹(スギ、アカマツ、カラマツ)は当年生葉、広葉樹(ブナ、ミズナラ、コナラ、シラカンバ)は充分成熟した陽葉を試料とした。温度25℃、照度40klx条件下で通常濃度から針葉樹は3000μ bar、広葉樹は5000μ barまでCO_2を増加させた。光合成速度が飽和するCO_2濃度は、広葉樹が針葉樹より500μ barほど低く、1000〜1500μ barであった。一方蒸散速度はCO_2濃度が上昇するにつれて低下していった。気孔コンダクタンスでみると、広葉樹では低下の割合が針葉樹に比べ急激であった。また広葉樹内ではコナラがもっとも早く気孔コンダクタンスを低下させCO_2濃度1000μ barで0.5mol m^<-2>s^<-1>値を示し、それ以降低下の度合いは鈍るのに対し、ブナは対照的にCO_2濃度1500μ barまで比較的おだやかに低下を続け、その時の濃度における気孔コンダクタンスは1.3mol m^<-2>s^<-1>と広葉樹の中では高かった。ミズナラ、シラカンバは両者の中間的な傾向を示した。
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