研究概要 |
当科学研究費により、当演習林で植物のDNAの抽出および分析を行う設備として不足していた、フリーザ-および電気泳動装置一式を購入した。このため、RAPD法(ランダム増幅DNA多型)を行うにあたって一通り必要最低限の設備が揃った。 外部機関(京都大学)にて行ったRFLP(制限酵素断片長多型)によるカラマツ属樹木のDNA分析について、ひととおりの分析が終了し、その結果を日本林学会誌に投稿し掲載された。RFLPのレベルでカラマツ属樹木の類縁関係が大筋解明された。この結果を土台にして、今後より感度の良い手法を用い詳細な類縁関係を解明したい。 一方、北海道演習林では、カラマツおよびグイマツ並びにカラマツとグイマツの雑種について、種内変異および両親から雑種へのDNAマーカーの遺伝様式に関する解析を行い、親子関係の推定方法の開発を目指している。材料にはニホンカラマツ2個体および樺太系グイマツ2個体を両親種とする相互交雑家系を選定した。6月から8月にかけて採集した約200個体の生葉からゲノムDNAに抽出を行った。表現型を把握するために1年生枝について有毛性および枝色の測定を、球果を持つものについては大きさおよび種鱗数を測定した。得られたDNAについて秋から冬にかけてRAPD分析を行った。すなわち、DNAを,PCR増幅器を用い10塩基のDNA鋳型(プライマー)と合致する部分の増幅を行った。このPCR増幅産物について電気泳動し、DNAの長さに応じて分離させた。この共通のDNAの数によって遺伝的近縁度を求めるのであるが、このためにはさらに数多くのプライマーを用いたPCR増幅が必要で今後の課題である。
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