ヒノキ漏脂病におけるエチレン生成を解析するために、ヒノキ漏脂病との関連が指摘されている3種の菌類をヒノキ苗木に接種し、その後のエチレン生成の測定を行った。その結果、接種時期により傷害樹脂道形成の程度には大きな差があった。また、これらの菌類の接種によるエチレン生成の増加はわずかであった。 また、野外においてエチレンを測定する手法を確立するため、本年度購入したエチレンアナライザーのカラム条件およびトラップ法の検討を行った。通常のガスクロマトグラフとの比較の結果、エチレンアナライザーを改造し、カラムに活性アルミナを用いることにより、分解能はFIDに劣るものの、水素を用いずに野外で迅速なエチレン分析が可能であることが分かった。 マツ材線虫病におけるエチレン生成を明らかにするため、アカマツ切枝を用いて線虫の接種後のエチレン生成を測定するとともに、線虫の初期移動を検討した。その結果、初期のエチレン生成に関わるとみられる線虫の移動能力は、線虫のサイズによって異なることが明らかにされた。 また、エチレン生成を阻害すると言われているSTSおよびPPOHの切枝への濃度別処理、エチレン発生剤であるエスレルの処理をクロマツ切枝に対して行った。STSは、エスレルによるエチレン生成の一部を抑制する場合がみられたが、PPOHはマツに対しては効果が認められなかった。
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