縮合型タンニンのフェノール化変性物とカワラタケ菌体外酵素による変換物の牛血清アルブミン(BSA)に対する沈殿能とグルコシルトランスフェラーゼ(GTase)の阻害活性について調べ、構造とそれらの生理活性との相関性について考察した。 BF3を用いたフェノール化でプロシアニジンタイプの縮合型タンニンは複素環が開環し、フラボノイド間結合が切断された構造へ変性された。この変性物のBSA沈殿能は複素環の開環度合いが増すにつれて元の縮合型タンニンよりも増加し、その値は2〜3倍に達した。一方GTase阻害性はフラボノイド間結合が切断される程、すなわち分子量が低下するに伴い減少する傾向が認められた。これは、複素環が開環する事で分子がフレキシブルになると同時にA環のフェノール性水酸基が増加し、水素結合能力が向上したためであると考えられた。しかしながらGTase阻害性が低下したことから、この性質にはA環の水酸基の関与は少なく、むしろB環の関与が大きいことが判った。カワラタケ菌体外酸素による黄色変換物は、モデル実験の結果からキノン系の化合物でラジカルカップリング反応によりA環とB環が分子間で結合した構造を有することが予想された。縮合型タンニンはそれ自身のGTase阻害性は高い物質であるが、変換物のGTase阻害性はさらに増加し、特に低分子フラクションでは50倍以上も向上することが認められた。この理由として、変換物の立体モデルから予想すると、縮合型タンニンよりも分子の平面性が高く、B環が分子の先端に位置することでGTaseの活性中心に近づきやすくなった構造を有していることなどが考えられた。
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