研究概要 |
調査は、6月から12月にかけて東京水産大学練習船"ひよどり"を用いて、東京湾湾奥部の船橋〜幕張沖の海域で月1〜2回の割合で行った。この海域は予備調査の段階で詳細な海底地形図を作成した結果、土砂を採掘した跡が残され複雑な海底地形を呈しており、さらに河川の流入によってミズクラゲが集積されやすい環境であると考えられた。予備実験として、6月8日にポ-タブル型魚探(50,200kHzトランスデューサー)をパーソナルコンピューターに接続したシステムを船内に持ち込み、航走中にディスプレイ上に表示された魚探の映像をハードディスク内に記録した。この結果、ミズクラゲの濃密なパッチに遭遇した場合、それは魚探に探知され、画像情報としてパーソナルコンピューター内で処理することがある程度可能ではないかと考えられた。 ミズクラゲのパッチが探知された場合には、後部より口径80cmのプランクトンネットの傾斜曳を行ってミズクラゲを採集し、群集内の傘径の頻度分布と平均傘径、性比等を測定した。性比は調査期間全体を通じてほぼ1対1であったが、傘径は6月から徐々に成長していく傾向が観察され、11月には傘径のピークは20cm以上となった。しかし、秋期には一部の個体は傘径を縮小させる傾向が認められた。以上の結果、東京湾湾奥部におけるミズクラゲの現存量は6〜9月が最も高く、それはミズクラゲのパッチの出現頻度及び規模に左右されることが判明した。最も濃密なパッチ内ではミズクラゲの個体数は5個体/m^3にも達することが判明した。
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