LECラットのskin fibroblastは放射線に対し高感受性を示す。我々は、この表型がLECラットにおけるG1/S或いはG2/M期の境界上に存在するチェックポイントコントロール異常に因るものか否かを調査した。LECラット及び、ノーマルラットよりskin fibroblastを単離し、放射線照射を行なった。照射後8h、24hでのfibroblastのG2 arrestの程度を調べた。LECラットのfibroblastは、ノーマルラットのそれと同程度のG2 arrestを起こすと判明した。細胞はG1或いはG2 arrest後アポトーシスを起こすものらしい。そこでfibroblastの放射線照射後、DNAを単離し、電気泳動することにより、DNA fragmentationの程度を調べた。LECラットのfibroblastはノーマルラットのそれと同様なDNAラダーのパターン、シグナル強度を示した。ゆえに、LECラットはノーマルラットと同程度のアポトーシスを起こすと判明した。これらの結果はLECラットの細胞周期上に存在する拘束点制御は正常に働いていることを示唆している。加えて、発癌物質の暴露後生じたLECラットの腫瘍細胞はノーマルラットの腫瘍細胞と同様に、今回調査された8つのlocusにおいて、microsatellite instabilityを示さなかった。この結果はLECラットがprimary defectとしてRER表型を持ち、それが発癌に関与するという可能性を否定すると考えられる。LECラットの肝自然発癌への同蓄積及び放射線高感受性という表型の役割をLECラットへの戻し交雑群、(LEC×F344)×LEC、を用いて検討中である。
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