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1994 年度 実績報告書

マスト細胞腫の発生におけるKITレセプターの役割

研究課題

研究課題/領域番号 06770156
研究機関大阪大学

研究代表者

辻村 亨  大阪大学, 医学部, 助手 (20227408)

キーワードマスト細胞腫 / マスト細胞性白血病 / c-kit遺伝子 / 突然変異
研究概要

c-kit遺伝子はKITレセプター・チロシンキナーゼをコードし、そのリガンドであるstem cell factor(SCF)はマスト細胞の最も重要な増殖因子である。正常のKITはSCFが結合すると自らを燐酸化することによりシグナル伝達の第一歩をふみ出す。マウス、ラット、ヒトのマスト細胞はSCFだけの刺激で増殖するがマスト細胞の腫瘍化にSCF-KITによるシグナル伝達で関与しているか明らかでない。本研究により、我々はマウスのマスト細胞腫細胞株(P-815)、ラットのマスト細胞性白血病細胞株(RBL-2H3)、ヒトのマスト細胞性白血病細胞株(HMC-1)の細胞ではSCFの結合がなくてもKITのチロシン残基が燐酸化しておりキナーゼが活性化していることを見い出した。しかしいずれの細胞においてもSCF mRNAは検出できなかったのでこの構成的な活性化にautocrine機構は関与していないと考えられた。c-kit遺伝子の塩基配列を調べたところ、いずれの細胞でもキナーゼ領域の同一のアスパラギン酸をコードするコドンに点突然変異が存在しその結果アスパラギン酸がチロシンあるいはバリンへ置換することが明らかになった。培養ヒト腎細胞株(293T)でそれぞれの変異型c-kit遺伝子を発現させて得られた変異型KITでも構成的にチロシン残基の燐酸化とキナーゼの活性化がみられた。以上より構成的なKITの活性化の原因はアスパラギン酸が置換される点突然変異に求められKITレセプターには"gain-of-function"突然変異が存在することが明らかとなった。突然変異によるKITの構成的な活性化がマスト細胞の腫瘍化に関与している可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Tsujimura: "Ligand-independent activation of c-kit receptor tyrosine kinase in a murine mastocytoma cell line P-815 generated by a point mutation" Blood. 83. 2619-2626 (1994)

  • [文献書誌] U.Koshimizu: "W^n mutation of c-kit receptor affects its post-translational processing and extracellular expression" Oncogene. 9. 157-162 (1994)

  • [文献書誌] M.Yamazaki: "c-kit gene is expressed by skin mast cells in embryos but not in puppies of W^<sh>/W^<sh> mice:age-dependent abolishment of c-kit gene expression" Blood. 83. 3509-3516 (1994)

  • [文献書誌] H.Tei: "Characterization of mast cells derived from Ws/Ws mast cell-deficient rats with a small deletion at tyrosine kinase domain of c-kit" Blood. 83. 916-925 (1994)

  • [文献書誌] H.Kitayama: "Constitutively activating mutations of c-kit receptor tyrosine kinase confer factor-independent growth and tumorigenicity of factor-dependent hematopoietic cell lines" Blood. 85. 790-798 (1995)

  • [文献書誌] T.Tsujimura: "Substitution of an aspartic acid results in constitutive activation of c-kit receptor tyrosine kinase in a rat tumor mast cell line RBL-2H3" Int Arch Allergy Immunol. (in press).

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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