研究概要 |
Brown norway(BN)およびFischer-344(F344)近交系ラットにNippostrongylus brasiliensis(Nb)感染幼虫を感染させ,継時的(0〜6週)に腸管膜リンパ節を摘出した後,全RNAを抽出しオリゴdTプライマーと逆転写酵素によってcDNAを合成した.次いで塩基配列をもとに設計したIL-4,IFN-γのオリゴプライマーを用い,cDNAを鋳型としてPCRを行なった.同時に内部対照としてラットβ-アクチンの増幅も行なった.PCRの過程で[α-^<32>P]dCTPを取り込ませることにより各増幅産物をラベルし,電気泳動,オートラジオグラフィーの後,^<32>P量を測定した.結果はβ-アクチンの増幅量で標準化することにより,日ごとの比較を行った.感染前ではBNの方がF-344よりもIL-4mRNAのレベルは高かった.感染後どちらにおいてもIL-4mRNAは速やかに増加し,14日目にピークに達した後徐々に減少していったが,6週を過ぎても感染前のレベルより高い価にとどまっていた.一方,IFN-γmRNAはどちらのラットにおいても,IL-4の変動よりはるかに小さく,BNでは僅かながらも抑制傾向がみられたが,F-344ではむしろ感染前のレベルを中心に小さな振れを示すにとどまっていた.ELISAで総IgE抗体の変動をみると,感染前BNでは30ng/ml前後でありF-344では検出できなかったのが,感染後両者とも速やかに上昇し,14日目にピークに達した後徐々に減少していった.腸管寄生線虫による感染で,ラットではTh2系のサイトカインであるIL-4のmRNAが強く誘導され,それに応じてIgE抗体産性が上昇するが,IFN-γのmRNA発現の変動は小さいということと,IgE高応答性のBNでも低応答性のF-344でも感染によってIL-4mRNAとIgE抗体産性は同じように誘導されるということが判明した.
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