研究概要 |
T細胞を活性化する抗原提示細胞として骨髄由来の樹状細胞、活性化B細胞がよく知られている。これらの細胞は生体内で比較的に短命である。しかし、移植された組織、慢性GvH病において免疫反応は長期に亘って継続される。その機構として、骨髄由来でない細胞のT細胞活性化の役割が注目される。そこで、骨髄由来細胞になく、非骨髄由来細胞にのみアロ主要組織適合抗原が発現されるモデルマウスが不可欠である。そのために、超致死線量の放射線照射により骨髄(BM)キメラマウスを作成した。(a)BM->13Gy(axb)F_1,(下線はThy1.1コンジェニック)このキメラマウスに(a)のT細胞を新たにトランスファしたところ、T細胞は非骨髄由来細胞のbアロ抗原を認識し、その結果として、リンパ組織に停留した。後に、少ない数の活性化T細胞を産出した。次に、IL2トランスジェニックマウスの骨髄細胞をうえのモデルマウスの系に加えた。(a)+(a.IL2transgenic)mixed BM->3Gy(axb)F_1を作成し、(a)由来のT細胞のbアロ抗原に対する寛容を解析した。その結果、ともに存在するIL2を持続的に産生するtransgenic T細胞は、nontransgenicの(a)由来の細胞の寛容誘導に影響を与えなかった。従って、この系で見られる自己寛容は、IL2(他の細胞からのヘルプ)の欠乏に困らないことが、示唆された。 加えて、活性化されたT細胞のcell-cycle理解のために、他のタイプのsomatic細胞も含めて未成熟染色体凝縮(PCC)を解析した。オカダ酸等のセリン/スレオニン ホスファターゼ阻害剤により、M,G2のみならず広範なステージでPCCが誘導できた。これにより正常の染色体凝縮の要求性を探ると同時に染色体の動態を研究するうえでの重要な方法となる。
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