1.申請時に計画したB細胞イムノグロブリン(Ig)VH遺伝子解析のためのアンカードPCR-ELISA法の開発に成功した。この方法は従来の方法と比べて簡便で、大量の試料を短時間に処理することが可能である。しかも、ハイブリダイゼーションに用いるプローブ毎にスタンダード曲線を作るために極めて定量性に優れている。また、この方法により得られたIgVHのデータはPCRの条件に依存せず、再現性も高かった。 2.この方法を用いて、慢性関節リウマチ(RA)を片方または双方に持つ一卵性双生児10組の末梢リンパ球IgMB細胞、さらにIgGB細胞のVH遺伝子レパートリーの解析がなされた。一卵性双生児は、全く同じ遺伝子因子を共有するため、双生児間でレパートリーを比較することによりレパートリーへの環境因子の影響を検討出来る。また一卵性双生児間と非血縁者間で比較することにより、遺伝因子の検討も出来る。解析の結果、IgMB細胞レパートリーは一卵性双生児間では非血縁者と比べて極めて類似しており、レパートリーが強く遺伝的に規定されていることが明らかとなった。これとは対照的にIgGB細胞レパートリーでは双生児間での類似性は示されなかった。尚、両レパートリーにもRAに特徴的な変化は認められなかった。 現在これらの成果をまとめて論文を作成中であり本PCR-ELISA法の開発に関連して考案したSolid phase PCR法については既に論文として発表した。
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