イソウルソデオキシコール酸の生成機序と肝機能との関連を検討し以下の結論を得た。 1、イソウルソデオキシコール酸の異性体であるウルソデオキシコール酸内服中の慢性肝炎、肝硬変患者では肝機能正常者に比べ血中、尿中イソウルソデオキシコール酸濃度は有意に低値であった。また、イソウルソデオキシコール酸濃度と各種肝機能検査値との間に相関関係が認められた。 2、ウルソデオキシコール酸療法を行なった慢性肝炎患者では肝機能改善群で血中イソウルソデオキシコール酸濃度が高値であった。 以上の結果よりウルソデオキシコール酸からイソウルソデオキシコール酸の生成には肝細胞機能が密接に関連していることが示唆された。 3、ラット肝ホモジネートとウルソデオキシコール酸、イソウルソデオキシコール酸の中間体である3-keto-7 β-cholanoic acidをインキュベートするとウルソデオキシコール酸、イソウルソデオキシコール酸がともに生成された。また、その生成量は3-keto-7 β-cholanoic acid量と補酵素により変化した。しかし、ウルソデオキシコール酸からは直接生成はされなかった。 以上の結果よりイソウルソデオキシコール酸は肝において3-keto-7 β-cholanoic acidの還元により生成されると考えられた。
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