炎症性腸疾患に於けるマイコバクテリウムの関与は、特にクローン病において取りざたされているが、現在尚、肯定的報告と、否定的報告とが入り交じっている。 今回、炎症性腸疾患患者の大腸粘膜からDNAを抽出しマイコバクテリウム族全体に共通のgroEL遺伝子と、M.paratuberculosisに特異的とされるIS900遺伝子とをそれぞれに特異的なプライマーを用いてPCRを行った。その結果、IS900遺伝子はクローン病患者の10人中10人、潰瘍性大腸炎患者の18人中11人、コントロール患者の16人中14人に陽性であり、groEL遺伝子は、IS900遺伝子陽性患者全て陽性であった。 即ち、日本に於いてマイコバクテリウムの当疾患への関与はそのprevalenceからは肯定できないことを確認した。
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