1.クローン病患者の回腸末端病変部および大腸病変部より上皮細胞間リンパ球(IEL)、粘膜固有層内リンパ球(LPL)を分離を試み、回腸末端病変部のIEL、大腸病変部のLPLの細胞株を樹立した。 2.クローン病患者の回腸末端病変部のIELを28週から56週培養するとT細胞受容体のうちVβ5.2を有するT細胞が有意に増加していた。 3.これらのVβ5.2陽性細胞を多く含むT細胞株は高γインターフェロン産生能とredirected cytotoxicity assayにおける高い細胞障害活性を有しており、局所の活性化したIELがγインターフェロンを介してマクロファージの集族、活性化をおこしていることが示唆された。 4.super antigenとして知られている各種のStaphylococcal enterotoxin(SE)を分離直後のIELに添加し、^3H-Thymidin uptakeにより増殖活性を調べると、SEC1、SEDにより増殖活性が上昇することが示された。 5.大腸病変部のLPLでVβ1〜Vβ20のプライマーを用いてRT-PCR法によりT細胞受容体のVβの偏りを検討すると、特定のVβに偏った発現は認められず、むしろ2〜3個のVβで発現が認められないほかはすべてのVβが発現していた。 6.大腸病変部のLPLの細胞株よりLPLのT細胞クローンの作製を試みたが、今回の系ではクローン化に成功し得なかった。現在抗CD3交代などで刺激してLPLのT細胞クローンを作製中で、これを用いて各クローンでのVβの発現、および各種super antigenを用いた増殖能の検討とVβの発現との関連を検討中である。
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