白血病の寛解中の微少残存腫瘍の検索は臨床的に重要であり、微少残存腫瘍が多い場合、その後の治療方針を変更することによって治療成績の向上も期待される。また自家骨髄移植の場合、採取骨髄中の微少残存腫瘍が重要な因子となる。平成6年度は、fluorescence in situ hybridization(FISH)法を用いてt(9;22)のABL/BCR、t(1;19)のE2A/PBX1の遺伝子異常を持つ小児白血病の骨髄中の微少残存腫瘍の検索を行い、その後の予後とどのように相関するかを明らかにしつつある。我々はこれまで、t(1;19)-ALLのE2A遺伝子などで切断点近傍の遺伝子を用いてreverse transcriptase(RT)-PCR法による微少残存腫瘍の検出を行ってきて、臨床的にも一定の貢献をしてきた。その経験からするとFISH法はRT-PCR法に比べ簡便であり、微少残存腫瘍の検索法として有用であると考えられる。現在のところ、症例数が少ないことと観察期間が短いことより、FISH法で確認される微少残存腫瘍が予後とどのように相関するかは定量的には示せないが、FISH法にて微少残存腫瘍が検索できることは確認された。 また、神経芽腫についても自家骨髄移植が重要な治療法となってきており、骨髄中の微少残存腫瘍の検索は大切である。特に1番染色体短腕の欠失を認める症例では予後が悪いため、この部分のYACプローブを作成中である。また、14番染色体長腕、11番染色体長腕、N-mycについても検討中である。
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