メラノーマ患者の血清ならびにリンパ球表面の接着分子の発現の解析 メラノーマ患者の血清中における接着分子の一つであるICAM-1およびメラニン代謝産物である5-S-CDレベルを、健常人をコントロールとして、DDIAおよびHPLCを用いて測定した。血清中の可溶性ICAM-1(sICAM-1)および5-S-CDレベルは、それぞれ健常人に比べ有意に高値を示した。sICAM-1は、メラノーマの病勢の早期より上昇傾向を示したのに対し、5-S-CDは、進行期の患者のみに上昇傾向を示した。また、色素産生のない症例では、5-S-CDは、上昇傾向を示さないのに対して、sICAM-1は上昇傾向を示し、両者の測定の有用性が示唆された。一部に、sICAM-1優位または5-S-CD優位の症例を認めるが、全体としては、5-S-CDとsICAM-1は、有意な正の相関を示した。メラノーマ患者のリンパ球表面のICAM-1の発現を、フローサイトメトリーを用いて測定し健常人と比較検討した。メラノーマ患者のリンパ球表面のICAM-1の発現は、健常人に比べ有意に高値を示した。また病勢の進行にともない上昇傾向を示した。健常人の末梢リンパ球を培養し、γ-IFNによるリンパ球表面のICAM-1の発現および培養上澄中のsICAM-1レベルの影響をメラノーマの培養細胞と比較検討した。健常人の末梢リンパ球に比べ、メラノーマの培養細胞は、γ-IFNにより細胞表面のICAM-1の発現および培養上澄中のsICAM-1レベルの影響が大きかった。 メラノーマ患者の血清中のsICAM-1の由来は、腫瘍細胞とも活性型リンパ球とも言われているが、未だ明らかではない。以上の所見は、進行期メラノーマ患者の血清中のsICAM-1の由来が腫瘍細胞である可能性を示唆するものと考える。
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