研究概要 |
当院通院中の栄養障害型先天性表皮水疱症患者(DEB)の白血球からゲノムDNAを抽出し、VII型コラーゲン遺伝子各ドメインのPCR-SSCP解析、及びPCR-RFLP解析を施行した。その結果、DEBで優性栄養障害型(DDEB)、劣性栄養障害型(RDEB)の2型に分類し比較するとVII型コラーゲン遺伝子の点突然変異部位はそれぞれ異なった場所に生じていることが判明した。すなわち、SSCP、RFLP解析で各種DEB症例を比較検討すると、1).DDEBではVII型コラーゲンのコラゲナスドメインにのみ遺伝子変異が存在していたのに対して、EDEBではコラゲナスドメインとNC1ドメインの双方に変異が認められた(日皮会誌,1994、Eur.J.Dermatol.,1994)。また、これらの変異はすべてVII型コラーゲン遺伝子のHot Spotと思われる部位に集中して存在することも判明した。次に蛍光自動シークエンサーを用いてVII型コラーゲン遺伝子の変異を塩基レベルまで検討したところ、2).DDEBではVII型コラーゲンのコラゲナスドメインのアミノ酸が変換されてα-helixの構造を不安定にするような一塩基置換が生じるのに対して、EDEBでは停止コドンが新生されるような一塩基置換が生じていることが判明した(J.Clin.Invest.,1995,in press)。現在、我々はこれらのVII型コラーゲン遺伝子の変異のパターンの違いが、如何に臨床症状と相関関係があるかを引き続き検討中である。
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