動脈瘤の低侵襲性治療や動脈閉塞に対するPTA後の開存性向上を目的として研究・開発中であるPTFE(polytetrafluoroethylene)covered stentの(1)耐圧性を評価し、(2)雑犬の動脈内でのstentの開存性と組織学的変化を検討した。 (1)耐圧検査 PTFE covered Spiral Z-stentに水圧をかける装置を作製してstentの耐圧試験を行なった。PTFEシートの接合部で耐圧性が最も低く、230mmHgの持続的な加圧でシート接合部からの漏出が認められた。 (2)動物実験 16頭の雑犬の胸部大動脈にstentを留置し、4群に分けて留置2、4、12、24週後に経過観察した。血管造影後にstent留置部の動脈を摘出し、stent留置部動脈を肉眼ならびに光学顕微鏡と走査電子顕微鏡で観察した。血管造影では全てのstentの開存が確認された。肉眼的には、2週後にstent内面に赤褐色の血栓付着を認めたが、4週後には著明に減少し、12、24週では、血栓をほとんど認めなかった。光学顕微鏡では、2週後にstent両端部に新生内皮による被覆がみられたが、stent中央部には血栓付着がみられた。4、12、24週では、stent中央部のwire、nylon糸に新生内皮による被覆を認めた。全経過観察期間を通じて血栓形成ならびに内膜の厚さは1mm以下であった。走査電子顕微鏡による観察では、4週後にwireとnylon糸部分の内皮化が完成していたが、stent中央部のPTFE部は24週でも内皮化されない部分が認められた。 PTFE covered spiralZ-stentは、大動脈瘤への臨床応用に耐圧性の向上が必要がある。動脈内に留置後、stent両端部とwire、nylon糸に沿って内皮化が進行するが、内膜肥厚は軽微であり、PTEFE covered stentが動脈内留置器具として使用可能であることが示唆された。
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