研究概要 |
1.ラットビタミンDレセプター(VDR)のcDNA配列より二番目のZnフィンガー部のアンチセンスオリゴDNA(20mer)を合成しラット小腸上皮細胞IEC-6細胞の培養系に添加した。添加量に比例して添加後1日目の培養あたりのノーザンブロット法で検出されるVDRmRNA量およびラジオレセプターアッセイ法で検出されるVDR量は減少したが、タンパク量の増加率も減少した。1,25水酸化ビタミンD_3(VD)を作用させた場合のVD24水酸化酵素mRNA誘導は培養あたりのVDRタンパク量に比例した。この現象はセンス側のオリゴDNA添加群では観察されず、VDR遺伝子発現を直接介していると考えられた。しかし、タンパク増加量の減少からトランスフェクションをうけた細胞のみがバイアビリティを消失している可能性も考えられる。in situハイブリダイゼイション法によるmRNA検出はトランスフェクトしたオリゴDNAの影響が無視できず実験系を検討中である。これが確立すれば均一にトランスフェクトしているか明らかになる。 2.Goto,Hらによって報告されているVDDRIIに認められるヒンジ領域の変異及びその近傍の燐酸化を受けると予想されるセリン残基に注目し同部位に変異を導入し、高効率発現プラスミドベクターpCMV5を用い、エレクトロポレーション法を用いてヒト前骨髄性白血病細胞HL-60細胞に発現させた。リガンド結合部位を認識する抗VDRモノクローナル抗体を用いて多量のVDRが発現しているのを確認した。RT-PCRを用い部分的に塩基配列を検討したところ正常及び変異体の両方のmRNAが発現していた。VDによる細胞分化能には変化なく、同部位の変異では正常VDRに対するVD作用を競合阻害できないことが示唆された。VD反応性のない組織とレポーターを用いた検討も必要であると考えられた。
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