研究概要 |
がん性胸腹水局所より、腫瘍特異的Tリンパ球の存在を証明し、それが使用するT細胞受容体について解析できた。 胃がん患者(HLA-A2,B61,51,Cw3,DR8)局所リンパ球よりT細胞クローンが13樹立でき、内4クローンに自己腫瘍特異的細胞障害活性を認めた。すべてCD4陽性クローンで、T細胞受容体V betaの解析では、13.1、3、(6,18)、(3,7)の使用が認められた。治療前の局所リンパ球にT細胞受容体oligoclonalityは認められなかったが、末梢血リンパ球との比較では局所においてVbetal3.1の出現が高頻度であった。局所免疫療法が著効を示し、局所リンパ球T細胞受容体Vbeta usageがoligoclonalとなった直腸がん胸水症例では、single strand conformation polymorphism analysisにおいてoligoclonalityが確認され、それは同症例の末梢血パターンと同一であった。 以上のことは、腫瘍局所に特異的T細胞が存在すること、それはある特定のT細胞受容体を使用している可能性、局所免疫療法によって、重要なT細胞受容体を有するリンパ球を誘導可能であることを示している。
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