1.解析法について 任意の点の座標と方向を指定したときに、単位モーメントをもつdipoleのつくる磁界パターンと測定された磁界パターンとから得られる相関係数と線形近似式の傾きとの積をとることによって、実際にdipoleが存在する点での値が特異的に高くなる関数が生成される。 相関係数の乗数などのパラメーターはいくつかの値を試して検討したが、特異性はあまり大きな違いはなく、計算の速度の観点から、単に相関係数と線形近似式の傾きとの積をとることにした。 問題となるのは方向も指定する必要がある点で、このため先ず方向特異性を検討した。その結果、±30°まではある程度の値が保たれることが分かった。従って、理論的には任意の点で60°ずつ方向の異なる3つのdipoleを考慮することによってこの問題を回避できることになるが、計算の簡便さから、任意の点で90°方向の異なる2つのdipoleを考慮し、それぞれに対する関数値の平方和の平方根をその点に対するトポグラフィーのパラメーターとすることにした。 2.2つの並行する人工dipoleを入れたファントムを作成し、磁界パターンを測定した。このデータから、dipoleを含む平面内の点でのパラメーターを計算し、トポグラフィーを作成した。このトポグラフィーは、2つのdipoleの中点に単一のdipoleがある場合のトポグラフィーとは明確に異なっており、電流源の広がりを示唆していた。しかし、2つのdipoleを含む鉛直面でのパラメーターを計算すると、深部方向にパラメーターが発散し、深部の電流源の解析には適さないと言う限界も確認できた。 3.健常者での体性感覚誘発磁界 正中神経刺激による健常者の体性感覚誘発磁界を測定し、トポグラフィーを作成した。反応のピークは体性感覚野に求められた。
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