【目的】近年、関節鏡視下手術の一手段として、レーザー照射による半月板切除、滑膜切除や関節デブライドメントの有用性が報告されている。我々は、Ho-Yagレーザーのコラーゲンに対する拘縮能力に着目し、in vivoにおける関節包靭帯に対しての定量的な経時的変化について検討をしたので報告する。 【材料と方法】日本白色家兎に対し、ネンブタールによる麻酔を行った上で、膝に縦切開を加え、膝蓋靭帯を十分に展開したうえで、靭帯長が計測可能であるように伸展位で生体組織変位測定装置(DVRT-100)を刺入、装着し、膝を0゚から90゚までの範囲で屈曲伸展させ測定した。その後、伸展位で固定し、Coherent社製Ho-Yagレーザープローベを靭帯から2mm離した位置で、0.5J、5pulse/sec(2.5W)の出力条件により3秒ごとに計9ケ所に照射し、靭帯長の経時的な変化について検討を行った。 【結果】上記の可動域内では、靭帯長の変化は1%以内であり、この計測方法での靭帯長は、許容範囲内であると考えられた。レーザー照射による靭帯長は、12〜20%(平均17%)短縮したものの、照射後10分までに1〜5%(平均3%)の長さの復元を認めたが、それ以後は変化しなかった。また、照射部位による拘縮は、靭帯付着部のほうが靭帯中央部に比べ大きい傾向がみられた。 【考察】現在、不安定肩に対し弛緩した関節包にレーザー照射を行い、関節包を拘縮させる手術が行われつつある。しかし、これまでにin vivoにおいてのレーザーによる靭帯の短縮様式についての詳細な報告はみられない。我々の結果より、経時的な靭帯の短縮度及び効果的な照射部位についての有益な情報が得られた。さらに、照射出力量による変化や長期における靭帯長を調べたうえで、靭帯としての力学的強度についても検討中である。
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