研究概要 |
単離したラットの傍気管神経節細胞を用いて、その細胞の膜電位依存性イオン電流に対する神経活性物質の効果について検討をした。膜で電位依存性イオン電流は、conventional patch-clamp法を用いて記録した。 1)Dopamine,GABAB,Noradrenaline,Somatostatin,Adenosineにより惹起されるイオン電流があるかどうか検討したが、いずれもイオン電流を惹起しなかった。 2)傍気管神経節細胞の膜電位依存性イオン電流に対して上記の神経活性物質が影響を与えるかどうかについて検討したが、いずれも影響を与えなかった。 最近、単離神経節細胞の膜電位依存性イオン電流に対して様々な神経活性物質が影響を与えるという報告が散見されるようになってきたが、そのほとんどは細胞内環境にほとんど影響を与えないと言われているnystatinを用いた新たなパッチ・クランプ法で行われている。今回、我々が用いたconventionalな方法では、細胞内液が人工的に作られた電解質液で完全に置換されるため、細胞内情報伝達系を介した反応は検出されなかった可能性がある。今後は、nystatinなどを用いた新たな方法で、膜電位依存性イオン電流に対する神経活性物質の影響について再検討を行う必要があると思われる。
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