【目的】 前立腺を加温することにより、α_1-receptorがどのような影響をうけるか検討した。 【対象と方法】 実験動物:生後30週のウイスター系雄ラット、コントロール群4匹、加温群4匹をThermotron-RF8で8MHzの高周波radiofrequencyを用い、前立腺を45〜45.5℃で60分間加温した。 α_1-receptorの定量分析法:α_1-receptorの定量分析には[^3H]Prazosinを標識ligandとするRadioreceptor assay法を用いた。解離定数(Kd)および全結合数(Bmax)はnon linear regression analysisにて算出した。 全結合数(Bmax):単位蛋白あたりの受容体の数 解離定数(Kd):Prazosinとの親和性(受容体の性質) 【結果】 加温により前立腺α_1-receptorの密度の減少を認めた。Bmaxの平均値はコントロール群で27.07(fmol/mg protein)加温治療群では17.91(fmol/mg protein)と加温によりBmaxの値は有意に低下した。 一方、Kd;receptorの性質は、有意の変化は認めず、それぞれの平均値はコントロール群、0.1032(nM)、加温治療群0.0988(nM)であった。 今回の研究では、加温によりα_1-receptorが破壊されることを証明した。α_1-receptorの破壊により排尿障害が改善するという可能性が推察できる。加温療法の作用機序を解明したことにより、前立腺肥大症に対する加温療法をより効果のある治療法へと導く可能性がある。
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