1.GH_3細胞(ラットの下垂体腫瘍由来の株細胞で成長ホルモン(GH)やプロラクチン(PRL)を産生する)をHAMF-10(15%HS、2.5%FCS)を培養液として、2×10^5cells/mlとなるように調整し、48時間培養後、アクチビンを0〜30nMの濃度で添加し、さらに4日間培養し、FSH産生能の有無について検討した。 NIDDKD RIA kitを用いて培養上清のFSH濃度を測定した結果、測定感度(2ng/ml)以下であった。このことから、アクチビンはGH_3細胞にFSH産生能を誘導する作用はないと考えられた。 2.同様の条件で、アクチビンを培養上清に添加し、48時間培養し、GH_3細胞のPRLおよびGHの産生に及ぼす影響について検討した。NIDDKD RIA Kitを用いた上清中の濃度測定では、アクチビンは0-3nMの範囲でPRL濃度を用量依存性に抑制した(最大55%)。上清中のGH濃度には有意な影響を与えなかった。 3.同様の条件でアクチビンを添加し培養したGH_3細胞内でのPRLおよびGHのmRNAの発現量をNorthern Blot Analysisにて検討した。アクチビンはGH_3細胞のPRL mRNA発現を抑制したが、GH mRNA発現には影響を及ぼさなかった。 4.GH_3細胞のアクチビンレセプター発現の有無をRT-PCR法により検討した。GH_3細胞はアクチビンレセプターのうちII型に関してはType IIとType IIBの発現が、またI型に関しても一種類のレセプターの発現があることを確認した。さらに新しいI型レセプターサブタイプの発現も確認され、一部の塩基配列の解読から、これがヒトで報告されているアクチビンI型レセプターに相当するものであり、塩基配列95%、アミノ酸配列では100%のホモロジーを持つことを明らかにした。
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