1.三歳児健診で検出された滲出性中耳炎児の予後調査 仙台市および宮城県の三歳児健診で滲出性中耳炎と診断された644名について、治療開始6カ月後までの予後調査を行なった。その結果 1)追跡可能例の1カ月以内の治癒率は30%、1カ月時点での治癒中症例の3カ月以内の治癒率は22%、3カ月時点での治癒中症例の6カ月以内の治癒率は29%だった。 2)6カ月追跡可能例のティンパノグラムの推移は、初診時、B型86%を占めていたが、治療の結果、、50%がA、C型へと改善したが、依然としてB型23%を認め、これら難治例の検出が今後の課題である。 2.手術を要した難治性滲出性中耳炎についての検討 東北大耳鼻科で、3年間に難治のため手術に至った症例のうち、三歳児健診で新たに発見された例が19例36耳あった。 1)19例中、三歳児健診のアンケート異常は10例で、他の9例はアンケートでは異常なく、ティンパノグラム異常にて検出されている。 2)たとえ難治例であっても、これらの症例を健診のアンケートのみで検出することは難しく、ティンパノメトリーと、アンケートを併用した、宮城県方式の三歳児健診の有用性が確認された。 今後は、健診3年以降の長期予後について、研究の継続予定である。
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