(1)スナネズミから単離した血管条辺縁細胞について、パッチクランプ・ホールセル記録をおこなったところ、等張液中で細胞あたり約100nSの大きなCl^-コンダクタンスが観察された。(2)このCl^-コンダクタンスのイオン選択性は、SCN^->Br^-=Cl^->F^->NO_3^-=I^->gluconate^-の順であった。 (3)等張液内におけるホールセルクランプの状態で、細胞外液を交換することによりCl^-に対する電気化学的勾配を負荷すると、辺縁細胞の体積が変化した。この体積変化はCl^-の移動に伴う水の移動によると考えられた。また細胞体積の変化に一致してCl^-コンダクタンスが変化した。 (4)高張液中で辺縁細胞の体積を減少させるとCl^-コンダクタンスも減少した。 (5)このCl^-コンダクタンスの電気生理学的性質は、辺縁細胞の基底側膜に発見されたCl^-チャネルとよく似ている。生理的状態においては、細胞体積の調節、基底側膜の膜電位に大きな役割をはたしていると考えられる。 (6)スナネズミから単離した血管条基底細胞について、パッチクランプ・単一チャネル記録を行ったところ、コンダクタンスが約240pSのK^+チャネルが発見された。このチャネルは、EPの産生に関与している可能性がある。
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