喉頭癌における糖鎖抗原発現機序をレクチン組織化学的に検討した。 Sambucus nigra agglutinin(SNA)は糖鎖末端のシアル酸、なかでもα2-6結合を認識する。Peanut agglutinin(PNA)は非還元末端のGal(β1-3)GalNAcを認識する。 正常喉頭組織においてはPNAは、扁平上皮の基底層、顆粒層を特異的に染色した。一方、SNAの染色性は認められなかった。 喉頭組織の異型化、癌化に伴いレクチン結合様式の変化が認められた。癌組織、特に未分化癌においてPNAの反応性が低下し、逆にSNAの反応性が亢進した。 Neu5Ac(α2-6)Gal/GalNAcの糖鎖構造は、癌特異糖鎖構造の一部であることが示唆された。 マウス鼻粘膜の糖鎖構造を解析した。鼻粘膜は呼吸上皮、嗅上皮に大別される。レクチン組織化学的に、同じ鼻腔でも組織形態の違いにより、糖鎖末端の糖鎖構造も異なることを明らかにした。細菌およびウイルス感染症における宿主側の感受性の違いからも興味ある知見である。今後の癌ウイルスに対する宿主側の感受性の研究においても重要な知見である。
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